昨日(9/15)は
「敬老の日」。これまでにお世話になった多くの先輩方の顔が思い浮かびました。その中でも、CASA発足時に私道花壇の手入れをしていると、「お兄ちゃん、何してるんだい?」と声をかけてくれたのがKさんでした。この時が初対面でしたが、顔は赤銅色に焼け凛々しく、背筋はピーンと伸び美しい姿勢でした。「両親が残してくれた花壇なのですが、少々荒れてしまっているので、もう一度整備しようと思って…」と答えると、
「じゃあ、レンガを用意してくれるかい? 俺が花壇の土止めを造るよ」と、その場で提案がありました。
私道の長さは約25mあるので、横20㎝のレンガだと125枚必要だと計算し、横20cm・縦10cm・厚さ3cmのレンガを用意しました。もう初夏の頃で、夏の太陽の中、Kさんにいろいろ教えていただきながら、
レンガを並べ「花壇の土止め」造りを一緒に始めました。Kさんはその時84歳。先輩から見ると、「本当はおじさんの私」はまだ「お兄ちゃん、何してるんだい?」と声をかける対象だったのでしょう。Kさんは石川県金沢市の出身。20歳半ばの頃、大きなタンカーの溶接作業をしている時に、甲板から船底へ転落してしまう事故にあってしまったそうです。高さ20m~30mはあったそうです。一命はとりとめたものの背骨などを骨折してしまい、1年間以上、鉄板のようなベッドに横たわり身動きの取れないままの入院生活を送ったそうです。その後のリハビリも大変だったことと想像しますが、Kさんの口からは、「苦しかった」とか「大変だった」とかのマイナスの言葉を聞いた記憶がありません。こんな経験が、Kさんの凛々しさに結びついていたのでしょう。
約2週間かけて
「花壇土止め」が完成しました。「できたねぇ~!」が、Kさんの最初の一言でした。とても楽しく・充実した時間でした。ここを「CASAワイワイ!」と名づけ、「みんなの居場所づくり」を目指したいという目標を伝えると、「いいねぇ~、俺も仲間に加えてくれ!」とエールを送ってくださいました。Kさんは溶接職人を手始めに大工さんなどのスキルも身につけていたので、その後もCASAのいろいろな個所をDIYで修理するスキルを教えてくれました。大けがの影響もあったのでしょうか、ご結婚はなさらずにCASA近くのアパートに一人住まい。「金沢に姪っ子がいるんだ」とおっしゃって、姪っ子さんから送られた「金沢銘菓」を度々差し入れしてくださいました。そうしているうちに、コロナという疫病が蔓延。体調を崩したKさんが入院したとの噂を聞きましたが、正確な情報はつかめませんでした。4年前に、「おじがお世話になったそうで…」と姪御さんが訪ねて来てくださいました。Kさんは
「花壇土止め」を残し旅立っていたのです。
CASAは、
Kさんの他にも多くの先輩方の力をお借りし、今年11年目に入りました。CASAには、Kさんから頂いた超特大のくぎ抜き・電気のこぎりなどの大工道具が残っています。
これら先人から頂戴した宝物は、これからもCASAで
引き継いでいこうと思いを新たにしました。Kさんの造ってくださったレンガの土止めの写真を載せておきます。10年経ちますが、
レンガは健在、その内側に木製の土止めが加わり、花壇では新たな芽が伸びています。これらも
CASAが目標にしている「継続と循環」の具体例の1つです。
小沼 好宏