「蚊帳(かや)って知ってる」?とCASAに来ていた子どもたち(小中学生)に聞いてみました。みんなポカンとしていましたが、一人が「トトロにでてくる蚊に刺されないようにするやつ?」と答えてくれました。そうです、「蚊帳」とは、夏の夜に蚊などに刺されないように、寝床のまわりを覆う網目状の道具です。麻や綿などの布をあらく織って網目状にして風は通しながらも虫を防ぐことができます。天井の四隅から吊るして使います。上と横四面は網でおおわれ、横をめくって下から入ります。私は母の実家(新潟)で夏休みを過ごした際に「蚊帳」を実体験していますが、東京の生活だけでは経験できなかったことでしょう。
この「蚊帳」にはいろいろな思い出があります。母の実家では、夏の夜は
戸・窓は締めずにオープンなので、涼しい風が流れてきました。「蚊取り線香」も使用していたので、線香の香りが風に乗って流れてくるのも好きでした。「蚊帳」の中では、祖母が「うちわ」であおいでくれました。旧盆の頃になり母の実家に親戚が大集合すると、夜には5~6帳(蚊帳の数え方)の「蚊帳」が登場しました。小学校低学年の頃は、いとこたちが寝る「蚊帳」に遊びに行くのも「お泊り会」のようで楽しみでした。ある夜、昼間に採集したトンボやセミを蚊帳の中に放すと蚊帳の中は大騒ぎ、大パニックです。昆虫たちは一層パニック状態になったのでしょう。オニヤンマ(大型トンボ)が、私の左手人差し指に噛みつきました。痛かったのでとっさに、オニヤンマの羽をつかんで引っ張ってしまいました。どうなったでしょう? よほど強く噛んでいたのでしょう。噛んでいたオニヤンマの顔だけが私の指に残り「首ちょんぱ」状態に。さらに驚いたのは、大きな目玉がギョロリと動き、睨まれたのです。私もパニック状態で、手を振りながら「助けて~ぇ!」と蚊帳の中を走り回った記憶はありますが、最後、どうなったのか覚えていません。おそらく高校生のいとこが助けてくれたのだと思いますが…。
「蚊帳」の中は「異次元空間」。皆が寝静まっている深夜、ふと目を覚ますと、お月様が輝き青白い光の帯が伸びていました。その光の帯に乗って「かぐや姫」がやってくるような気がしました。夜にはカエルの輪唱の中で眠りに落ち、早朝にはセミの大合唱で目覚めました。これらを「蚊帳」という空間で体験したのです。
これらの「蚊帳」での体験も
CASA運営にヒントを与えてくれます。子どもたちが「自宅」ではできない「異次元」をCASAで感じて欲しいと願っています。建物自体が古いので、初めてきてくれた子どもたちは
「おじいちゃ家(ち)・おばあちゃん家(ち)みたい!」と言ってくれます。「古い」というのも財産です。そんな中で、子どもたちが
「異次元空間」を感じてくれるような「場づくり」をいつも考えています。夏休みラストの来週には、高校2年生の女子運動部の生徒たちから「夏休みの思い出作りの合宿をさせて!」との依頼があり、それに向けて準備中です。おおよそ10名程度になりそうです。どんな「異次元空間」にしようか相談中です。「蚊帳」も準備しようかななどと考えています。
小沼 好宏